古いものになぜか惹かれる おばあちゃんの古時計
おじいさんの古時計という有名な曲がある。天国に行ったおじいさん、と内容が少し子供には悲しすぎて、ここの部分で泣いていた記憶がある。
時計が、チクタク、と音を立てると、今の若い人は理解できるだろうか?
電子とけいは音もなく、静かに時を刻む。
柱にかかった時計は、時々狂って止まってしまい、お父さんがねじを持ってきて巻く。
そんな昔の光景は、古き時代の一コマで、今には考えられないことだ。
時は、人によりその歩みが違うと聞いた。子どもの頃は、ゆっくりと時が過ぎ、高齢になると、あわただしく時は過ぎ終わりを告げるのだ。
私の時間もそう長くはない。コロナの恐怖の中にいるときにそう感じた。
いつ、終わりを迎えてもよいように、充実した毎日を過ごそうと思っていた。
おばあちゃんは、どんな気持ちで毎日を過ごしていたのだろうか、と思うことがある。
痴呆が少し入り、私に1000円をくれるって、相当な額のおこづかいをあげるがごとくに、もったいぶって手に握らせてくれた。
おばあちゃんの時代は、すべてのモノが価値のあるものだった。箪笥職人が製作した和ダンス、着物もカタンコトンと手織りのものだった。輸入した安い洋服なんかないし、セーター、も手袋も、せっせと、編んだんだよ。
おばあちゃんの、古時計。
おばあちゃんの嫁入り道具の一つだった。
当時、どのくらいの価格だったのだろう。
今はほこりをかぶっているが、動くことはあるのだろうか。チクタクと。